不動産投資を始める上で欠かせないのが「不動産投資ローン」です。
一部を除いて、ほとんどの人は不動産をローンで購入することになります。
不動産投資ローンを利用すれば「少ない資金」でも不動産投資を始めることが可能となります。
しかし、「住宅ローン」は知っていても「不動産投資ローン」は知らないという人も多いと思います。
この記事では、
- 不動産投資ローンの基礎知識
- 不動産投資ローンのメリットとデメリット
- 各金融機関の特徴と審査時に重視するポイント
- 積極的に融資をしてくれる金融機関
- 不動産投資ローンの手続きと流れ
- 不動産投資ローンを申し込む際の注意点
不動産投資をする上で絶対に知っておきたい不動産投資ローンの知識を網羅的にまとめてみました。
不動産投資はローンの知識があるかないかで投資の成果は大きく変わってきます。
良い条件で融資を受けるためにも不動産投資ローンについて知識を深めておきましょう。
1. 不動産投資ローンとは?
まずは「そもそも不動産投資ローンとは何か?」確認していきましょう。
1-1. 不動産投資ローンとは?
不動産投資ローンとは、「アパートやマンションなどの投資用不動産の購入資金について金融機関から融資を受けて組むローン」のことをいいます。
「不動産投資ローン」「アパートローン」「オーナーローン」など金融機関ごとに商品名は様々です。
1-2. 住宅ローンとの違いは?
不動産に関するローンといえば、最も身近な「住宅ローン」があります。
不動産を購入するためのローンという意味では不動産投資ローンと同じですが、中身はまったく違うものになります。
不動産投資ローンと住宅ローンは「購入の目的」と「返済の原資」が大きく異なります。
・住宅ローン
住宅ローンは「ローン申込者自身が住むための不動産を購入する目的として資金を借り入れるローン」です。
戸建てでもマンションでも、自分と家族が住む家の購入に借り入れするローンが住宅ローンです。
住宅の取得は国も推奨しているため、金利が非常に安く、審査のハードルも低いです。
住宅ローンの返済の原資は「ローン申込者の収入」のみとなるのが特徴です。
物件の「資産性」や「収益性」よりも、借りた本人に返済能力があるかどうかをみるのが住宅ローンです。
・不動産投資ローン
不動産投資ローンは「人に貸して家賃収入を得るなど、不動産を運用して利益を得ることを目的として資金を借り入れるローン」になります。
不動産投資ローンの返済の原資は「不動産から得られる家賃収入」となります。
住宅ローンでは物件の収益性を重視されることはありませんが、不動産投資ローンは「入居者からの家賃」が返済の主な原資となるため、物件の資産性・収益性も審査の際にみられることになります。
もちろん家賃収入が入ってこなくなることも十分に考えられます。
その場合、ローン返済の原資となるのは「ローン申込者の収入」になりますので、不動産投資ローンは「本人の返済能力 + 物件の価値」を総合的にみて融資の判断をすることになります。
したがって、不動産投資ローンは住宅ローンよりも厳しく審査されることになります。
1-3. プロパーローンとは?
不動産投資に特化した「不動産投資ローン」ですが、金融機関によっては提供していないケースや審査が通らないケースもあります。
その場合、「プロパーローン」を利用することで投資用不動産が購入できる場合があります。
「プロパーローン」とは「金融機関が保証会社を介さず、自社でリスクを負担して融資をするローン」のことです。
主に「事業の運転資金」や「設備資金の融資」などの事業者向けのローン商品になります。
融資の目的は幅広く対応しており、投資用不動産の購入についても利用することが可能です。
定型化されているローン商品と違い、条件などは個別に決められますので、審査には時間がかかりますが、不動産投資ローンの審査がなかなか通らないという場合、プロパーローンを利用してみるのもひとつの手です。
1-4.不動産投資ローンはどれくらい借りられる?
自分がどれくらい融資を受けられるのかは気になるところでしょう。
もちろん金融機関はお金を貸してくれるといっても、いくらでも貸してくれるわけではありません。
「借りられる額」は「年収」と「倍率」を掛け合わせた額でおよそ決められます。
■年収に対する融資枠の参考表(※2019年自社調べ)
年収 | 倍率 | 融資枠(年収×倍率) |
500万円未満 | 6倍 | 3,000万円未満 |
500万円以上~800万円未満 | 8倍 | 4,000万円以上~6,400万円未満 |
800万円以上~1000万円未満 | 10倍 | 8,000万円以上~1億円未満 |
1000万円以上 | 12倍~15倍 | 1億2,000万円以上 |
もちろん最終的な金額は金融機関によっても違い、年収だけではなく資産状況など総合的に見て決められますので、一つの目安としてください。
2. 不動産投資ローンの金利
お金を借りてローンを組むときに大切なのが金利です。
借りた分だけ返すのではなく、金利分の利息をつけた額を返済していかなければなりません。
ここからは不動産投資ローンの金利についてみていきましょう。
2-1. 不動産投資ローンの金利の相場
不動産投資ローンは国が推奨する住宅ローンと比べて、やはり金利は高く設定されています。
不動産投資ローンの金利はおよそ2%~5%が相場となっています。
(※住宅ローンの金利相場はおよそ0.8%~1.0%)
2-2. 不動産投資ローンの金利の種類
ローンの金利には「固定金利型」と「変動金利型」の大きく2種類があります。
固定金利型はさらに「全期間固定型」と「期間選択型」に分けることができます。
・変動金利型
その名のとおり、金利が変動するタイプです。
半年に一度、金利が見直されますが、毎月返済する額については「5年に1度」の見直しとされています。
金利が変更された後の返済額についても、返済額の「1.25倍まで」とされており、急激な変動へのリスクにも対応しています。
変動金利型のメリット
変動金利型の金利は基本的に固定金利型より低くなるため、月々の返済額を低く抑えることができます。
借りた後に金利が下がれば、返済額が減少します。
変動金利型のデメリット
金利の変動によって返済額も変動するため、返済計画が立てづらくなります。
借りた後金利が上がれば、返済額が増えてしまいます。
・固定金利型(全期間)
返済までの全期間、一定の金利で固定するタイプです。
返済期間の長さによって、金利が高くなります。
固定金利型(全期間)のメリット
変動金利型と違い、金利は固定されているので金利変動のリスクにさらされることがなく、返済計画や家計管理がしやすくなります。
固定金利型(全期間)のデメリット
変動金利型に比べて、金利が高く設定されているので返済額が大きくなります。
また選択型と違って今後金利が下がったとしても、その恩恵を受けることはできません。
・固定金利型(期間選択)
一定の期間だけ固定金利になるタイプです。
金融機関によって異なりますが、固定期間は1年・3年・5年など選択することができます。
固定金利型(期間選択)のメリット
固定金利期間中の金利は変動金利型よりも低く、固定金利期間が短いほど低金利となる場合が多いです。低金利のタイミングで借り入れを行うことで、期間中の金利負担を軽くできることが大きなメリットです。
固定金利型(期間選択)のデメリット
固定金利期間が終わった後は変動金利型となるため、金利が上がれば返済額が増えてしまいます。
2-3. 固定金利か変動金利どちらが良いかは考え方によって決まる
「固定金利」と「変動金利」、どちらが良いのか?
これは考え方によって違ってきます。
将来的に売却の予定がないなら「固定金利」
将来的に売却する予定がない物件(※代々相続してきた物件や生命保険代わりの物件など)は長期的な保有が前提となりますので、「固定金利型(全期間)」のほうが良いでしょう。
投資期間は長期になれば、当然リスクにさらされる期間も長くなります。
利率が固定される固定金利型であれば、金利の上昇による返済額の増加リスクにもさらされることはありません。
投機目的などの短期的な保有なら「変動金利」
短期での売却を考えているのであれば、「変動金利型」が有利です。
不動産投資では、むしろ「利益の確定」や「収支の悪化」などで物件を返済途中で売却してしまう可能性のほうが高いといえます。
固定金利型は途中解約すると違約金が発生してしまうケースが大半ですので、特に戦略的に物件の売却を考えている人であれば、「変動金利型」あるいは「固定金利型(期間選択)」を選ぶと良いでしょう。
変動金利型は通常、固定金利型と比べて金利が低く設定されているため、短期的な保有であれば金利の面で有利になります。
3. 不動産投資ローンのメリット・デメリット
3-1. 不動産投資ローンのメリット
不動産投資ローンを利用することのメリットは以下の2つです。
少ない資金で不動産投資ができる
不動産投資ローンのメリットでまず挙げられるのが、少ない資金で不動産投資を始められることです。
不動産は都心部の物件であれば、安いものでも1,000万円以上します。
仮に年間100万円貯金したとしても、物件の購入までに10年以上かかってしまう計算です。
これではいつまで経っても不動産投資をスタートすることができません。
不動産投資ローンを利用して金融機関からお金を融資してもらうことで、購入資金がなくとも不動産投資をはじめることができるのです。
レバレッジ効果で投資効率が上がる
不動産投資ローンを利用することで投資効率をあげることができます。
これは自分の資金を極力使わずに他人の資金(融資されたお金)を使うことで「レバレッジ効果」が働いているためです。
レバレッジ効果とは「テコの原理」のことです。
投資という視点でみると、「少ない資金で大きな投資効果を得る」という意味になります。
例えば、自己資金1,000万円で物件を購入する場合を考えてみます。
現金一括で購入する場合(レバレッジなし) | |
物件価格 | 1,000万円 |
利回り | 8% |
自己資金 | 1,000万円 |
年間家賃収入 | 80万円 |
自己資金1,000万円で3,000万円の物件を購入する場合(レバレッジあり) | |
物件価格 | 3,000万円 |
利回り | 8% |
自己資金 | 1,000万円 |
借り入れ額 | 2,000万円 |
年間返済額 | 60万円(金利3%) |
年間家賃収入 | 240万円 – 60万円 = 180万円 |
※イメージしやすいよう、経費については考慮していません。
このように自己資金1,000万円で1,000万円の物件を購入する場合よりも、金融機関から2,000万円を借りて3,000万円の物件を購入する場合のほうが同じ利回りでも見た目以上の収益を得ることができます。
ローンを利用することで、自己資金に対する利益率が格段に上がるのです。
3-2. 不動産投資ローンのデメリット
反対に不動産投資ローンのデメリット(リスク)は以下の2つです。
返済が困難になり、破綻するリスクがある
家賃収入のない期間が長引いてしまうと、ローンの返済が厳しくなり、破綻してしまうリスクがあります。
不動産投資ローンの返済はほとんどの場合、毎月の家賃収入から返済していきます。
たとえ物件が空室になったり、家賃滞納があったりなど、家賃収入が滞ってしまったとしても、毎月のローンは返済していかなければなりません。
ローンの返済が滞らないよう、しっかりと返済計画を立てる必要があります。
売却時にローンが残る可能性がある
不動産の売却時にローンが残ってしまうリスクがあります。
物件をずっと所有するのであれば別ですが、不動産投資がうまくいかなくなった時、急遽物件を売却しなければならないことがあります。
その際、売却のタイミング(※たとえば、購入してからの期間が短いなど)によっては、売却金額がローンの残額を下回り、ローンが残ってしまう危険性があります。
不動産投資ローンは順調に返済ができればいいですが、 返済が困難になった場合は自己破産や任意整理などの債務整理が必要となる可能性があります。
4. 不動産投資ローンの審査は何がみられる?
不動産投資ローンの審査基準や融資額は取り扱う金融機関でそれぞれ異なります。
しかし、どの金融機関にも共通していえることは「貸したお金がきちんと返ってくるか」ということです。
この章では、
・融資を出す際に金融機関がどこをチェックしているのか
・金融機関ごとの特徴と重視しているポイント
を解説していきます。
4-1. 金融機関はあなたの返済原資をみている
金融機関が投資用不動産の購入に関して審査するポイントは5つです。
- 属性
- 目的
- 返済実績
- 担保
- 不動産会社の実績
では、それぞれの項目について詳しくみていきましょう。
a. 属性
お金を貸すのに信用できる人物かどうかを評価するため、ローン申込者の「年収」「職業」「勤務先」「勤続年数」などといった項目がチェックされます。
これを「属性」といいます。
知らない人が「お金を貸してください」といって「はい、いいですよ」と貸す人はいません。
金融機関も同じです。
ローン申込者がどんな人なのか、お金を貸しても大丈夫なのかを入念に審査します。
「属性」は借りる人の「返済能力」を判断するものとなるため、どの金融機関も最も重視している項目です。
もちろん年収は高ければ高いほど融資は受けやすくなりますが、金融機関はしっかりと継続してローンを返済できるのかどうか、「収入の安定性」を重視する傾向にあります。
例えば、勤務先であれば倒産しにくい順、勤務形態であれば退職しにくい順に評価されます。
勤続年数であれば、3年以上が一つの目安となります。
【職業】
医師・公務員 ≧ 士業 ≧ サラリーマン > 経営者・個人事業主 > パート・アルバイト
【勤務先】
官庁 > 上場企業 > 非上場企業 > 自営業
【勤務形態】
正社員 > 契約社員 > パート・アルバイト
【勤続年数】
3年以上 > 3年未満
※あくまで目安です。必ずしもこの順番になるとは限りません。例えば、継続して何年も高い年収を維持している経営者であれば、年収の低い公務員より高い評価を得られることもあるでしょう。
そのほか、以下のような背景があれば、審査上はプラスに働きます。
・融資額以上の金融資産がある
・家賃収入などの不労所得が継続してある
・年齢が若い
…etc
反対に以下のような場合、審査上は不利となります。
・報酬が歩合制
・転職を頻繁に繰り返している
・扶養家族が多い
…etc
b.目的
借りる目的が希望するローンと合致しているか、または目的とする不動産であるかどうかをチェックします。
例えば、住宅ローンは申込者およびその家族が住むという目的で購入する不動産でなければなりません。
したがって、投資目的で住宅ローンを利用しようと思っても、金融機関は受け付けてくれません。
住宅ローンの金利が安いからといって、住宅ローンで購入した不動産を黙って投資目的で貸し出したりすると、最悪の場合、「ローン一括返済」ということもありますので注意してください。
c.返済実績
「返済実績」は融資の可否とその額を判断する基準となります。
主に「現在の借り入れ状況」と「過去の返済履歴」についてチェックします。
【現在の借り入れ状況】
現在借り入れしている「金融機関名」「借入残高」「返済金額(毎月と年間)」がチェックされます。
すでに他で借りているお金があれば、当然融資される金額も少なくなります。
車のオートローンやショッピングローン、カードローンなどほとんどのローンが審査の対象となります。
ただし、クレジットカードでの一括払いの代金や勤務先の社内融資、親族や知人などに借りたお金は対象外になります。
※消費者金融と位置付けられる金融機関に借金がある場合は融資をしないという金融機関もありますので、要注意です。
【過去の返済履歴】
過去に返済の延滞や破産などの金融事故があったかどうかをチェックします。
これらの情報は「個人信用情報機関」といわれるところにデータとして保管されており、金融機関は審査時に「個人信用情報機関」へ照会することで申込者の借入中のローンや延滞、事故などの状況を把握することができます。
データは完済後5年間残ります。
もし過去5年間に延滞や事故があった場合、融資が見送られる可能性があります。
※黙って申告しなかった場合、金融機関の心証が非常に悪くなりますので、必ず申告するようにしましょう。
d.担保
「担保」は万が一返済が不能となってしまったとき、金融機関がローンの残金を回収できるようにするための、いわば「人質」のようなものです。
これには「物的担保」と「人的担保」があります。
【物的担保】
不動産や現金などの財産です。
住宅ローンやアパートローンの場合は、購入する不動産に「抵当権」を設定することで融資したお金を担保します。
ローンの返済が滞った場合、金融機関は担保の対象である不動産を処分することで融資したお金を回収しようとします。
そのため、担保となる不動産がいくらで売れるのかを評価し、融資する金額を決めていきます。
融資する金額 ≦ 担保の評価額
借りられる金額は担保の評価額以内とされています。
金融機関は融資する金額と担保の評価を常に検証しているのです。
【人的担保】
保証人や連帯保証人のことを指します。
保証人は一定の条件下でないと支払い義務が発生しないので、責任は比較的軽いですが、連帯保証人となれば、ほぼ無条件で支払い義務を負うため責任が非常に重くなります。
そのため、保証人に資力があれば金融機関にとっては強力な担保となります。
ただし、最近では債務者(お金を借りた人)が保証料を支払って、保証会社を連帯保証人の代わりとすることが多いです。
e.不動産会社の実績
ローンの申込みは不動産会社が申込者に代わって金融機関に申込みをするのが一般的です。
ローンの申込みを受け付ける金融機関からすれば、面識のない申込者と聞いたことがない不動産会社であれば、怪しく感じるのも無理はありません。
ですので、審査は必要以上に精査されます。
対して、ローンの持ち込み件数が多い不動産会社で実績も豊富であれば、審査はスムーズに進み、場合によっては無理がきく可能性もあります。
実績のある不動産会社から融資を申込みしてもらうので、好条件を引き出すポイントともなります。
不動産会社に提携ローンがあれば、さらに融資条件を有利にすることができるでしょう。
提携ローンとは
金融機関と不動産会社が提携して購入者に提供するローンのことです。
審査から融資までの一部の手続きがスムーズに進み、非提携ローンと比べて、融資の実行が迅速になります。
不動産投資ローンにおいては「人」と「物件」の審査のうち、「物件」の審査がすでに通っている状況で、ローン申込者の収入や勤続年数などの一定条件さえ満たしていれば、通常のローンよりも融資を受けやすくなります。
また手続きも基本的に不動産会社が行いますので、提携ローンは「借りやすい」「手続きがラク」というのが通常のローンとの大きな違いです。
4-2. 金融機関ごとの特徴と重視するポイント
金融機関は銀行系のほか、信用金庫・信用組合、ノンバンク系、公的金融機関など多種多様です。
それぞれ審査時に重視するポイントは異なりますので、ここでは各金融機関の大まかな「特徴」と「重視するポイント」をご紹介します。
都市銀行
三菱東京UFJ銀行・三井住友銀行・みずほ銀行・りそな銀行のメガバンクと呼ばれる都市銀行は、大手らしく金利水準が最も低く、1%台で提供してくれます。
しかし、その分審査も非常に厳しく、借りる人の「属性」を重視する傾向が最も強いです。
「担保」の評価もかなりシビアにみられますが、それを補える「属性」があれば融資をしてくれることがあります。
地方銀行などは基本的に都市銀行の動向を常に追っているため、都市銀行が融資をした人物であれば、地方銀行からの融資も受けやすくなるというメリットがあります。
「都市銀行から融資を受けた」ということは、ある種のステータスともいえるでしょう。
都市銀行の特徴
- 金利が最も低い
- 属性に厳しく、審査がとおりにくい
- 融資対象エリアが広く、ほぼ全国をカバー
- 次の融資につなげやすい
信託銀行
信託銀行系は主な業務が信託業務なので、富裕層を中心に人気があります。
地主や資産家などの相続対策向けアパートローンなどのローン商品が豊富です。
「属性」や「資産」「担保」を重視し、評価が良ければ金利を優遇してくれます。
信託銀行の特徴
- 地主などの富裕層がメインターゲット
- 都市銀行と同様に審査が厳しい
- サラリーマンの不動産投資には消極的
地方銀行
横浜銀行、静岡銀行などの地方銀行は都市銀行と比べて規模は小さくなりますが、都市銀行より審査は比較的緩い傾向があります。
都市銀行と同じく「属性」を重視する傾向にありますが、地元地域に集中した銀行となるので、申込者の居住地が営業エリア内であれば、都市銀行よりも融通が利き、金利も低くしてくれることがあります。
逆に、その地方にまったく縁もゆかりもない人は融資を受けるのは難しいといえます。
地方銀行の特徴
- 居住地が営業エリア内であれば、都市銀行に近い条件で融資してくれる
- 都市銀行と比べて審査は比較的緩い
- 各社ごと特徴が異なり、融資が出る物件、出ない物件に差がある
- サラリーマンの不動産投資には比較的前向き
信用金庫・信用組合
信用金庫・信用組合は地域密着型の金融機関で、どちらかといえば中小企業の経営者や個人事業主への融資が強いといえるでしょう。
「属性」と「担保」を重視する傾向があり、申込者の居住地と購入物件の所在地が信用金庫・信用組合の近くにあれば、とても融通が利く金融機関です。
ただし、銀行系と比べて融資額の上限が低く、担保の評価そのものは厳しい側面もあります。
信用金庫・信用組合の特徴
- 融資対象エリアが狭い
- 銀行系より審査が通りやすい
- 評価が低くなりやすい事業者への融資に積極的
- サラリーマンの不動産投資には後ろ向き
ノンバンク
ノンバンクは預金業務を行わず、融資業務のみを行っている金融機関の総称です。
消費者金融やクレジット会社、信販会社などが該当します。
有名なところでは「三井住友トラスト・ローン&ファイナンス」「セゾンファンデックス」などが該当します。
ノンバンクは各社とも特徴が全く異なり、都市銀行や地方銀行にはないユニークな融資商品を取り扱っています。
審査も銀行系と比べて緩く「担保」や「不動産会社の実績」を重視しているようです。
お金が借りやすい反面、金利が他と比べて高めとなっています。
ノンバンクの特徴
- 金利が高い
- 他の金融機関と比べて審査がはやく、わかりやすい
- 融資基準が各社ごとで異なり、融資が出ない物件にも融資を出す可能性がある
- 次の融資につなげにくい
政府系金融機関
政府が出資する金融機関のことで、「商工組合中央金庫」「日本政策金融公庫」などが代表的です。
融資の対象となるエリアも全国可能で、金利も低く提供してくれます。
「担保」の評価と「返済実績」に特に問題がなければ、融資する傾向にあります。
ただし、基本的に融資期間が10年~15年などとあらかじめ条件が決められており、物件によっては収益がまったく出なくなってしまうのがデメリットです。
政府系金融機関の特徴
- 金利が低い
- 属性が低い人でも審査が通りやすいが、物件の評価は厳しい
- 融資対象エリアが全国
- 融資期間が短く、融資限度額が低い
5. 積極的に融資をしてくれる金融機関一覧
りそな銀行
https://www.resonabank.co.jp/hojin/service/bs/apaman/
都市銀行である「りそな銀行」は積極的に融資しています。
支店数は多いですが、四国エリアがないなど融資対象となるエリアは他の都市銀行より少なめです。
「属性」としては年収1,000万円前後のサラリーマンを多くの対象としています。
自己資金もそれなりに要求されるので、都市銀行らしく「高い属性」が求められます。
金利水準は1%台と低く、物件は収益性を重視する傾向があります。
横浜銀行
https://www.boy.co.jp/kojin/apart-loan/index.html
横浜銀行は地方銀行としては最大規模の銀行です。
横浜の本店をはじめ、支店は横浜市内や川崎市内、東京23区内など神奈川県に隣接する地域が多く、群馬や名古屋市、大阪市にも支店があります。
金利は2%台で優遇金利が付けば、都市銀行並みの1%台で提供されます。
年収1,000万円前後と高い属性を要求されることが多いですが、神奈川県内の支店であれば、審査ハードルは低くなりやすいです。
静岡銀行
https://www.shizuokabank.co.jp/setumeisho/index.html
「静岡銀行」は静岡を拠点とする地方銀行です。
東京・大阪にも支店があり、東京・大阪の物件も融資対象としています。
金利は3%台と高めですが、築古の木造物件にも融資してくれます。
都内の高属性のサラリーマンに積極的に融資する傾向があり、年収は700万円前後が目安となります。
借入額は原則として1億円以内。
オリックス銀行
https://www.orixbank.co.jp/personal/property/
「オリックス銀行」は不動産投資にかなり積極的な金融機関です。
対象エリアは「首都圏」「近畿圏」「名古屋市」「福岡市」の主要都市のみとなっています。
借入額は1,000万円から2億円以内。借入期間は最長35年です。
金利も2%前後と比較的低めで年収700万円前後の人であれば、まず第一候補となる金融機関でしょう。
SBJ銀行
https://www.sbjbank.co.jp/individual/loan/any/
SBJ銀行は韓国の新韓銀行が出資する日本現地法人です。
融資にはかなり積極的で、「ANY住宅ローン」というパッケージ商品を取り扱っています。
金利は3%と高めですが、年収500万円前後の属性が比較的低い人は候補となる金融機関です。
エリアは全国主要都市であれば、融資可能です。
日本政策金融公庫
https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/index.html
「日本政策金融公庫」は政府が100%出資している金融機関です。
「若者」「女性」「高齢者」「起業家」などの社会的に立場が弱い人にも積極的に融資をしてくれます。
金利も固定金利で1%台とかなり低く、年収が500万円以下などの「属性」が低い人にとっては非常に使いやすい金融機関となります。
「担保」の評価と「返済実績」に特に問題がなければ、融資を受けることができます。
ただし、基本的に融資限度額が4,800万円、融資期間が10年~15年などとあらかじめ条件が決められており、物件によっては収益がまったく出なくなってしまうのがデメリットです。
6.不動産投資ローンの流れと手続き
ここからは基本的な不動産投資ローンの流れと手続きをみていきましょう。
ローン申込から融資実行までは、金融機関によって若干違いますが、概ね以下のような流れになります。
(1) 金融機関の選定
まずは購入する物件の融資を申し込む金融機関をいくつかピックアップします。
金利が低いなどの融資条件が良い金融機関に申し込むのが理想です。
(2) 事前審査
ローンを申し込む金融機関が決まれば、事前審査を申し込みます。
審査は「事前審査」と「本審査」の2つが行われます。
金融機関は融資可能な条件を満たしているかを事前に審査して、それを通過した人のみ本格的に審査する流れとなります。
事前審査はおよそ1週間程度で結果が出ます。
事前審査で承認されれば、申込内容に大きな違いがない限り、ほとんどの場合本審査でも承認されるでしょう。
ただし、個人信用情報の確認(借り入れ状況や過去の返済履歴)を本審査のタイミングで行う金融機関も存在するので、事前にタイミングをヒアリングしておきましょう。
(3) 売買契約
事前審査で融資可能となれば、購入物件の売買契約を締結します。
契約の際の注意点としては、「ローン特約」が付いているかどうか確認してください。
ローン特約があれば、万が一本審査に落ちて購入代金が支払えないとなった場合にでも、契約を無条件で解除することができます。
契約解除による違約金を支払うリスクがなくなるので、ローン特約付きの売買契約を締結することをおすすめします。
(4) 本審査
売買契約を締結した後は本審査へと進みます。
本審査では多くの書類が必要となります。
書類に漏れなどがないよう早めに用意しておきましょう。
本審査はおよそ2~3週間程度かかります。
(5) ローン契約と融資手続き
本審査が承認されると、ローン契約と融資手続きを行います。
金融機関からお金を借りるための「金銭消費貸借契約」や登記手続きに必要な「抵当権設定契約」などが主に行われます。
(6) 融資実行
ローン契約と融資手続きが終わると、融資が実行されます。
物件の購入には(事前審査から融資実行まで)1ヶ月程度かかりますので、しっかりと計画を立てて行動しましょう。
7. 不動産投資ローンで融資を申し込む際の注意点
最後に不動産投資ローンで融資を申し込む際の注意点をお伝えします。
7-1. 必要書類は前もって準備しておく
ローンを申し込む際は事前に必要書類は準備しておきましょう。
金融機関への融資申込の遅れや書類の漏れがあると、仮に良い物件を見つけたとしても、他の人に物件をとられてしまう可能性がある上、金融機関の心証もよくありません。
購入物件に関する資料は基本的に不動産業者が用意してくれますが、以下の書類は申込者自身で用意しなければなりません。
【主に必要となる書類】
- 源泉徴収票もしくは確定申告書(3期分)
- 身分証明書(運転免許証や健康保険証など)
- 住民票
- 印鑑証明書
- 課税証明書
- 保有資産一覧
- 家系図(※不要な場合もあり)
- 返済予定表(※他にローンがあれば)
必要書類をあらかじめ準備しておくことで、取引もスムーズに進むようになりますので、必要書類はいつでも提出できるようにしておきましょう。
7-2. 融資の申込は1件に絞る
特別な事情がない限り、複数の金融機関に同時に審査を出さないようにしましょう。
融資担当者も人間です。
他の金融機関に二股三股をかけられている融資の審査に、融資担当者がどこまで真剣に取り組むかは容易に想像できると思います。
特に融資を出すか出さないかのボーダーライン上の案件については「辞退される可能性があるなら最初からやらないほうがマシ」と考えて、断られる可能性が高まります。
融資を出す金融機関とは長い付き合いになります。
原則として一度審査を申込したら、その金融機関から借りると決めたほうが良い結果が生まれるでしょうし、その後の担当者とも良好な関係を築くことができます。
ただし、ローン申込前の打診(事前審査)は複数の金融機関に当たるのが一般的です。
まとめ
不動産投資は金融機関から「いかに融資を上手く引き出せるか」が重要なポイントです。
ほとんどの人は金融機関から融資が出ないことにはスタートラインにすら立つことができません。
不動産投資ローンの融資基準は金融機関ごとに様々です。
銀行では「NG」なのに公庫では「OK」という場合もあれば、公庫で「NG」なのに信用金庫で「OK」ということも珍しくありません。
「同一人物」「同一物件」「同一の金融機関」であっても、持ち込む不動産会社で結果や条件が変わったりもします。
ぜひこの記事を参考に各金融機関の特徴をしっかりと把握した上で、自分に最適な金融機関を探してみてください。
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